
どうも!
ハイブリッド・カーライフのセッジです!
「i-DCDとe:HEVの違い」を調べている方が多いようなので、私がわかる範囲で解説してみようと思います!
実はホンダのハイブリッドシステムは、大きくわけて3種類あります。
現行車のe:HEVことi-MMDは第3世代になります。
また、フィットに搭載されたハイブリッドシステムは以下のようになっています。
- 第1世代 フィット2=IMA(Integrated Motor Assist)
- 第2世代 フィット3=i-DCD(Intelligent Dual Clutch Drive)
- 第3世代 フィット4=e:HEV(Hybrid Electric Vehicle)
厳密に言うと実はもう一種類、SH-AWD(Super Handling All Wheel Drive)というハイブリッドシステムもあります。
こちらはホンダのスーパーカーと言えるNSXなどに搭載されているシステムのため、
一般的に入手できるとは言いにくいですね。
ですので、今回は一般車でみかける3つのハイブリッドについて解説します。
【この記事は2024年8月15日に更新されました】
IMA(Integrated Motor Assist)
初めてIMAが搭載されたのはフィットではなくインサイトです。
1モーター式の「エンジンが主役」のハイブリッドシステムです。
パラレル方式に分類され、発進・加速時にモーターがエンジンをアシストするコトで燃費を向上します。
減速時の運動エネルギーは回生システムによって電力に変換され、バッテリーに蓄えられます。
前期型のIMAはモーターのみでの走行はできませんでした。後期型のIMAは機能が拡張され、低速域でのみモーターによる走行が可能になりました。
エンジンとモーターが直結されているため、バッテリーが十分充電されていてもエンジンが動き続けるといったコトもあったようです。

i-DCD(Intelligent Dual Clutch Drive)
1代前のフィット、通称フィット3に搭載されたハイブリッドシステムです。
IMAと同じく1モーター式のシステムのため、こちらも「エンジンが主役」です。
パラレル方式に分類されますが、性能的にはかなりシリーズ・パラレル方式に近づいています。
発進・加速時にモーターがエンジンをアシストしたり、低速域ではモーターのみの走行、減速時は回生と、IMAと共通しています。
しかし、DCT(デュアルクラッチトランスミッション)の採用により、エンジンとモーターを切り離して使用するコトができるようになりました。
エンジンとモーター、2つの動力の間にクラッチと7速のトランスミッションを挟むコトで、より高度にエンジンとモーターを使い分けられるようになり、
バッテリーが十分充電されていればエンジンは停止し、モーターのみの走行が可能になり、
速度が乗れば90km未満であればモーターによる定速走行が可能です。
i-DCDの場合、90kmを超えるとモーターは加速のアシストのみとなりエンジン走行になります。
i-DCDのイメージ図のみ変速機を描いていますが、これは他の2種に変速機がないという意味ではありません。
IMAもe:HEVもCVT(無段階変速機)を使用しています。
しかし、両者では「変速」にのみ使用されているため、図では省略しています。
i-DCDの場合は、変速機自体がハイブリッドシステムの一部になっており、
これにより「モーターのみの走行」「エンジンを停止した状態での回生」「エンジンで走行しながら充電」といった具合に、1つのモーターを最大限に活用できるようになっています。

e:HEV(Hybrid Electric Vehicle)
フィット e:HEV、通称フィット4に搭載されているハイブリッドシステムです。
もともとはi-MMD(Intelligent
Multi Mode Drive)と呼ばれていました。
シリーズ・パラレル方式に分類され、走行用と発電用に1つずつモーターを持ちます。
フィット4前期型ではエンジンが98馬力、モーターが109馬力に設定され、エンジンとモーターの関係が逆転しています。
※フィット4後期型ではエンジンが106馬力、モーターが123馬力にパワーアップしています。
そのため、時速80km以下ではモーターで走行し、バッテリーの電力が低下するとエンジンが発電しはじめます。
逆にモーターが苦手とする高速域の80km以上になるとエンジンが駆動系に接続されてエンジン走行になります。
このため「エンジンがモーターをアシストする」という、従来のホンダ・ハイブリッドとは逆のシステムとなっています。

ホンダ・ハイブリッドシステムの得意・不得意
このように3種類それぞれ全く違うシステムによって成り立っていますので、得意・不得意も違ってきます。
ただし、以下のような概念は共通します。
- エンジンは低速域が不得意で高速域が得意
- モーターは低速域が得意で高速域が不得意
ものすごく大雑把に言えば、
ハイブリッドカーは「なるべくエンジンを使わずモーターで走る」コトで燃費を稼ぐクルマです。
その概念にそった走行ができれば燃費性能も高くなります。
本来ならホンダの3種のハイブリッドシステムを公平に比較したいところですが、
あくまでも私個人の経験に基づくモノですので、当然慣れているi-DCDが有利になってしまいます。
とくにIMAについては私自身が1回しか乗ったことがないため、ほぼ伝え聞いた内容になってしまいます。ご了承ください。
定義として、0~40kmを低速域、40~80kmを中速域、80km以上を高速域とします。
IMAの得意・不得意
私が乗ったコトのあるIMA搭載車は2代目インサイトのみです。
初期型のIMAだったコトもあり、純ガソリン車との違いをあまり感じませんでした。
発進時にモーターアシストが働きエンジンが苦手とする低速域をカバーするので、
「電動アシスト自転車の自動車版」という私がハイブリッドカーに対して漠然と持っていたイメージにもっとも近いクルマと言えるでしょう。
自動車がもっともエネルギーを消費するのは発進時だそうです。
ところがエンジンはその発進時には力を発揮しづらいので、ここが燃費に悪影響を与えます。
逆にモーターは発進時から力を発揮しやすいので、発進時にモーターでエンジンをアシストすればエネルギー消費を少なくできるというのがIMAのコンセプトのようです。
他にも加速時はエネルギーを消費する局面ですので、ここもモーターアシストするコトでエネルギーを少なくできます。
しかし、実際の燃費としては、インサイトに乗っていた知人によればリッター20km前後だったそうです。
i-DCDやe:HEVでは条件があうとリッター25~30km前後まで行きます。
このあたりの差は「モーター依存度」によるようです。
後期型のIMAでは低速域でモーターのみの走行ができるようになっているそうですが、
それでもエンジンと直結しているという性質上、エンジンが停止していてもそれ自体が負荷になってしまうようです。
快適性という面では、エアコンが従来のガソリン車と同じモノを使っているため、アイドリングストップがかかるとエアコンも止まってしまうという欠点があるそうです。
i-DCDの得意・不得意
信号が少ない郊外走行・高速走行が得意です。
逆に、信号が多い都市内走行、とくに渋滞が不得意です。
i-DCDは第1世代のIMAをさらに発展させたようなシステムです。
1モーターのみで走行と発電をまかなうため、当たり前ですがモーターで走行中は発電するコトはできません。
発電は減速時に発生するエネルギーを回生、またはエンジン走行での余剰エネルギーを回生しています。
そのため、エンジンで走行したり減速して溜まった電力を消費してモーターで走る、という具合にエンジンとモーターを交互に使うような操作になっていきます。
もちろんエンジンとモーターの切り替えは自動ですが、コツがわかってくるとある程度ドライバーの方でコントロールするコトも可能です。
エンジンは低速域、モーターは高速域が不得意というコトをカバーしあうので理想的ですが、モーター走行時には発電できないため、i-DCDはストップ&ゴーが多くなる渋滞が苦手です。
低速ではモーター走行になりますが、電力を多く消費する状況なのにモーター走行しているために発電する機会が失われてしまいます。
そうなるとエンジンで走行するコトになってしまい燃費は悪くなってしまうのです。
逆に郊外走行や高速走行では一定の速度で走行できるため、バランスよくエンジン走行とハイブリッド走行、モーター走行を交互に切り替えて走行できるため、とても燃費が良くなります。
e:HEVの得意・不得意
都市内走行が得意で、渋滞もやや得意なようです。郊外走行や高速走行は苦手とは言え無いですが、i-DCDよりはやや燃費が落ちるようです。
その意味では欠点が少ないハイブリッドカーと言えるのかもしれません。
もちろんエンジンが回り続ければe:HEVでも燃費は落ちます。
しかしながらe:HEVは2モーター式のため、IMAやi-DCDの弱点ともいえる「モーター走行中は充電できない」という状況は起きません。
そのためストップ&ゴーが起きやすい都市圏や渋滞でも電力不足になりにくいのです。
そしてi-DCDに比べると、特に操作を気にしなくても燃費が良くなりやすいです。
e:HEVは低~中速域すべてをモーターで走行します。
そのためモーター走行時でも発電ができるのは必然ともいえ、ホンダ3種のハイブリッドシステムの中ではもっとも電気自動車に近いクルマと言えます。
日産のe-Powerのように全ての速度域をモーターにしなかったのは、やはりモーターは高速域が苦手だからでしょう。
高速域ではエンジンを駆動輪に直結して走行するため、燃費が良くなります。
理想的なハイブリッドではありますが、それでも前世代のi-DCDで高速域では燃費で負けてしまうコトがあります。何度か試乗させてもらった結果、明らかにe:HEVの方が燃費が良いコトがわかってきました。
ここは想像になってしまいますが…
e:HEVの場合、高速域ではエンジンとモーターが協調しない(できない?)からではないかと考えています。
また、私的な感想ですが、アクセルを踏んでから1~2秒遅れて加速する感覚があります。バッテリーが減っている場合、エンジン音が鳴りますがこれもズレを感じます。後期型のフィットやヴェゼルなどのe:HEVはレスポンスが改善され、タイムラグもかなり少なくなっています。
シビック e:HEVではこのあたり改善されていましたので、後期型のe:HEVではこのあたりのズレは無くなっているかもしれません。
ホンダハイブリッドといろは坂
2022年の紅葉シーズン真っ只中、週末でいろは坂が大渋滞になり、
その中でホンダのハイブリッドカーのみが故障していた、というのがニュースにまでなりました。
実はここで故障していたのは、我が家のフィット3にも使われているi-DCDを使っていた車両でした。
e:HEVを使っている現行のハイブリッドではおそらく起きない故障だと思われます。
主に初代ヴェゼルが多かったようですが、この故障はほぼトランスミッションの高熱化が原因だったそうです。
i-DCDには7速のギアがありますが、厳密にいうと「1速のギア」がありません。
1速のギアの代わりをしているのがハイブリッドモーターなのです。
走り出しのもっとも力を消費する部分にモーターが使われているのですね。
モーターを回すには電力が必要ですが、渋滞かつ上り坂が続く場所ではすぐに電力が無くなってしまいます。
そのため「1速の代わりであるモーター」が回らず、常に2速で発進するコトになり、
i-DCDは乾式クラッチを使っているため、摩擦でギアがオーバーヒートしてしまっていたようです。
こういう時、どうしたら良いのか詳しい方にたずねてみたところ、
「長い渋滞の場合、動き出したらすぐ前車を追いかけず、少し車間をあけてから追うようにすると良いと思います」
とのコトでした。
i-DCD車両はブレーキを離すと動きだしますが、これはいわゆるATのクリープ現象とは別モノで、モーターで動く「疑似クリープ」です。
この疑似クリープを繰り返すと、すぐに電力が無くなってしまうので、
極力回生による発電ができるようにして、2速に負担をかけないようにすると良いようですね。
停車時はしっかりブレーキを踏むのが必要です。
i-DCDはバッテリーが不足してくると走行しなくても発電を始めますが、ここでブレーキを離していると発電はされません。
どうも故障車両は、ブレーキをほとんど踏んでいなかったのではないか、という考察もされていますので、このあたりの対処が必要なのでしょう。
e:HEVの場合、まず2モーターであることからどのような状況でも発電されます。
また、ミッションも電気式CVTを使用しており、低速時は常にモーターで走行するコトもあってi-DCDのミッショントラブルは起きません。
これからホンダの新車のハイブリッドを購入される方は、少なくともi-DCDのようなミッショントラブルについては心配する必要はないでしょう。
現代のクルマは仕組みをしらなくても運転できるようになってはいますが、
自分の乗るクルマの仕組みくらいは知っておく必要があるということですね。
ホンダ3種類のハイブリッドの違い
今回はホンダの3種類のハイブリッド、
IMA・i-DCD・e:HEVの違いについて解説してみました。
エンジンをモーターでアシストするIMA。
そのIMAをさらに拡張して、動力分割と動力協調を可能にしたi-DCD。
そういった過去のハイブリッドの技術の蓄積から誕生したのが現行のe:HEVとなります。
IMAとi-DCDには共通する部分がありますが、e:HEVはまったく別物のハイブリッドシステムになっているため、同じホンダのハイブリッドでも全然違うドライブ感覚になります。
もちろん燃費も違います。
面白いのは最新型であるe:HEVが一番燃費性能が高いとは言えない点です。
もちろん総合力としてはe:HEVの性能がもっとも高いのですが、郊外走行と高速走行ではi-DCDの方が上になるコトがあります。
e:HEVもマイナーチェンジしたフィット4では後期型になるため、今後についてはまた変わってくるかもしれませんね。
このように、それぞれに特徴があって面白いのがホンダのハイブリッドです。
ぜひ機会がありましたら試してみてください!
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